交通事故の物損を賠償してもらう時の訴状の書き方

交通事故によって何らかの損害が発生した時には、その分の金額を事故の相手側に請求することができます。しかし、実際に請求する時にはどうすれば良いのか、困っている人もいるのではないでしょうか。こちらでは、損害賠償の請求を訴状で行う場合の書き方や、訴状に記載する金額、金額に含めることのできる項目などについて解説します。


損害賠償請求の訴状の書き方は?

損害賠償金を加害者側から受け取るためには、そもそも損害賠償を請求しなければなりません。そして請求するための方法に、訴状を書くというものがあります。訴状というのは、原告が民事訴訟を提起するにあたって裁判所に提出する、訴えの内容を述べた文書です。

この文書を裁判所に出すことで、損害賠償請求が始まります。では、訴状はどのように書けば良いのでしょうか。裁判所では訴状の記載方法にいくつか決まりを設けており、これに従って記載することが前提となっています。

決まりの設けられている項目は、裁判の当事者・「請求の趣旨」・「請求の原因」・必須添付書類の4つです。「請求の趣旨」には、主には損害賠償請求額について記載することになります。そして「請求の原因」は、損害賠償請求額の具体的な内訳や、請求の根拠となっている交通事故の発生日時や場所について記載します。

裁判所によっては、訴状のひな型をホームページなどで公開していることもありますが、定められた記載方法に沿っていれば、ひな型を利用しなくても構いません。

訴状に損害賠償請求額を記載することは必須

前述のように記載に一定の決まりがある訴状ですが、中でも重要となってくる項目は、やはり損害賠償請求額です。実際の損害よりも小さい金額を求めてしまうと、訴えが通ったとしても被害者は損をしてしまいますし、あまりにも大きい金額では訴えを認められない可能性があります。

被害者として、加害者側にどのくらいの金額を求めるのか、適正な金額を計算して訴状に記載しなければなりません。そして、適正な金額を求めるためには、どのような項目を損害賠償額に含めることができるのかを知っておく必要があります。

次項では、物損の場合に相手側に請求できる項目について解説します。

物損事故の場合に損害賠償として請求できる項目

物損事故の場合の損害賠償請求は、大きく分けて2つの項目で可能です。1つ目は、「損害を受けたもの自体に対する損害」です。もう1つは「損害を受けたものから派生して生じた損害」です。

「損害を受けたもの自体に対する損害」というのは、運転していた車が破損した場合の修理費用や買い替え費用のことです。「損害を受けたものから派生して生じた損害」は、車が壊れて運転できなくなった場合に代車を手配した時の利用料や、代車の手配にかかった費用など、直接的な損害以外のものを指します。

他に、事故に遭った車が営業車で、それを利用できなくなったために仕事の収入が減少した際には、その減少分も「損害を受けたものから派生して生じた損害」となり、休車損害として請求できます。また、車が事故車となってしまったことで、後に売却する時の価格が下がることも考えられます。

この際の価値の下落も、評価損として請求できます。ちなみに、交通事故で被害者がケガをしたり、死亡してしまった場合には、精神的に負った苦痛を償ってもらう意味で慰謝料を請求できますが、物損の場合には慰謝料はありません。

物損による精神的苦痛は、物としての価値を賠償することで填補できると考えられています。

交通事故の治療費は誰が負担するの?過失割合は影響する?

物損について損害賠償請求する場合の相場金額

損害賠償請求額を計算するためには、大体の相場金額を知っておくことも必要です。まず、「損害を受けたもの自体に対する損害」の相場は、「適正な修理費の金額」か「車の時価+買い替えにかかった諸費用」のいずれか低い方となります。

車が中古車の場合の時価は、原則として「同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を」中古車市場で購入する際にかかる金額とされています。次に「損害を受けたものから派生して生じた損害」の相場です。

まず、代車を手配した場合の代車使用料は、全額実費です。ただし、必要かつ相当とされる範囲に限ります。あまりにも高額だったり、不必要な出費の場合は請求が認められません。実際に、代車の必要性や代車のグレード、代車を手配した期間などが問題となることがあります。

休車損害の相場は、「1日あたりの損害金額×休車の期間」です。休車損害は、1日あたりの損害金額をいくらとするのかに明確な答えがありません。この点が、揉める原因となりがちです。最後に評価損の相場ですが、修理費用の30%前後が大体の相場となっています。

評価損についても、「そもそも請求できるものかどうか」が論点となることが多いです。

裁判で損害賠償請求する際のメリット・デメリット

訴状を裁判所に提出して損害賠償請求を行うことには、大きなメリットがあります。損害賠償請求額として妥当とされる金額で、解決に至る可能性が高くなるという点です。裁判で決着をつけますから必ず結論が出ますし、その決定内容には強制力があります。

また、賠償額を決定する際には、「裁判基準」と呼ばれている、過去の判例を基にした相場が用いられることが通常です。そのため、被害者側が納得のいく金額になることが期待できるのです。

その一方で、デメリットもあります。それは、最終的には解決するとしても、時間が長くかかりがちということです。また、手続きや裁判の都度、裁判所に出向く必要がありますし、裁判するための費用も多額となります。

他の方法による損害賠償請求

損害賠償請求する方法は、裁判によるものだけではありません。他にもいくつか選択肢があります。最も一般的な方法が、「損害賠償請求書」を加害者や保険会社に送るというものです。損害賠償請求書は、請求額をはじめとして記載すべき内容は決められていますが、書式などは自由です。

またこの時、内容証明郵便で送ることで、加害者に対してある程度は精神的な圧力をかけることができます。この方法のメリットは、費用をかけずに迅速に解決できる可能性があるということです。一方でデメリットは、被害者が求める額の請求には、加害者側は通常は応じないという点です。

加害者側は少しでも、賠償金額を低く抑えたいからです。また、加害者側がそもそも話し合いに応じないケースがあることも難点となります。損害賠償請求するために、調停を申し立てるという方法もあります。調停は第三者を介しますから、当事者と直接交渉するよりはスムーズに運び、裁判よりは安い費用と短い期間で、解決できるかもしれません。

しかしやはり、交渉結果が被害者にとって満足いくものとならないこともあります。いずれの方法をとるとしても、損害賠償として請求する妥当な金額を計算したり、どのような方法をとって請求すべきかというのは、被害者が自身で判断することは困難なことも多いです。

悩んでいる場合には、交通弁護士などの専門家へ相談することも検討してみてはいかがでしょうか。